瓦礫の中のゴールデンリング

アニメを作ってます。アニメがお仕事です。

逐文批判からちょっと離れて。

工藤美代子の本を読んで、「こんなことが隠蔽されていたなんて知らなかった」と感じた人は多いでしょう。なぜそう感じるかというと、隠蔽どころかあからさまになっている事実さえ知らないからです。工藤がちらりと批判している吉村昭関東大震災」は読みやすく、震災、流言の全容を描き出した労作で、読めば、流言も虐殺もなかったと断言する工藤の議論がアホらしくなります。流言がどのように発生したのか、それを官憲、軍隊はどのように捉え、対応したのかは工藤の唱える陰謀論より、遥かにクリアーに、そして多岐にわたり詳細に提示されています。「工藤氏によって事実が暴露された」という手合いは、それ以前に関東大震災のときに何が起こったのかについて、知らないし知ろうともしていないだけです。