瓦礫の中のゴールデンリング

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久しぶりの…。

今日は久しぶりにカッティング(編集)に立ち会いました。

この前納品が終わった一本は、カッティングもアフレコも出てないが、制作の都合で演出を途中で引き継いだものだったし、新しくもらった仕事の一本もカッティングは監督がやってしまった後で、アフレコからだったし、前シーズンの最終話近くのも、アフレコが終わってから手伝い、みたいなやつだったし、劇場作品もダビング前に呼ばれて…、だったし。いや、2か月前(だったか?3か月前だったか?)に最初から普通にかかわってる仕事でカッティングありました(やっと今度ダビングだ)けど、演出に不可欠な栄養素であるカッティング成分が足りない、このままでは欠乏症になってしまう…、というところで救われた。演出(後処理ともいわれる実作業)でカッティングがない、てのは決定的に物足りない仕事なんです。コンテ撮だろうが何だろうがいいから、カットをつないだ状態にする工程、これがないと仕事にならないというか、演出による作品の「支配」、という点で欠けた仕事になってしまう。

パチンコやパチスロのアニメ仕事なんか本当につまんない。一部のキメのムービー以外編集作業が入らないですからね。

そうは言っても、自分がやってきた仕事では結構「演出が逃げた」「降ろした」とかの理由で途中乗車、ってのは多いです。するとすでにコンテの絵でカッティング済ませてあります、とかアフレコ終わってます、ダビング前差し替え用の素材何とか作ってください、みたいなこともよくあるわけですが。また、人の仕事を引き継ぐ、ということに関しては、すでにあるものに足りないものを足したり、変更を加えてゆくという別のおもしろさもあり、決して劣った種類の仕事ではないと思いますが、それでも、こう一杯カッティングがない、ってのが続くとイラついてくる。まあちょうどよいところで入ったなと。

監督もノリノリで1分45秒オーバーから始まって、3時間で終わり。「いい話数になったねー」と言葉も頂いたので、このまま走ってゆきたいですね。

外れた仕事のこと。

ただいまテレビシリーズ4本持ち。1本は今週で終わる予定。演出途中引継ぎで、大急ぎで全カットラフ原チェックした後、マーキング、ダビングと終って、制作から連絡がなくどうなってるんだか。どうにせよオンエアが来月頭なので、なるようにしかならない。

明日打ち合わせのものと、9月にインする仕事もあり、あと2本増える予定。ひと月ほど前に、レギュラーで入ってた仕事から外れて、ちょうど手は空いてたので、いい感じではある。

仕事を外れたのは、こちらから申し出たことではなく、制作の都合だが、納得はしていない。前々から元請の制作と折り合いが悪い、というかなぜか一方的に問題視されていたようなのだが、下請けスタジオがそれに乗って判断したのだろう。それにしても「次は一度別の演出に振ります。次々回よろしく」って下っ端の進行に伝えさせて、2ヵ月待たせた後に「次からも交代した人でやります」ときたもんだ。曰く、その演出さんが総監督(監督は別にいて、総監督氏はアフレコにしか来ないのだが)と旧知なので元請が以後もお願いしたいと言い出したとか。演出さんも総監督も大ベテランで大先輩であるので、お仕事を渡すことはよいが、外される理由になってないし、最初からそのつもりだったんだろ?

外されるかもな、とも思ってたので別にショックじゃないけど、1年半仕事してた相手にする扱いかね。元請の意向で外れてくれ、って最初に言えばよかっただけなのに。下請けのデスクからも事後に電話がかかってきて、「会社を辞めることになった」とのこと。今回のことも含めて、居心地がよくないらしい。知らないところでいろいろ起きているようだ。

ちなみに、元請との確執というか、無意味なリテイクを要求されるので大半突っぱねていたのが心証よくなかったんでしょう。演出的には無意味で、直すにしても別の個所や方法があるんだけど、というものが理解されない。直すのが面倒くさい、というわけでもないのですよ。

バララッシュでカットを繋げていない段階で直しの方法まで含めて指図してくるんだけど、まず偉そう(これ重要だから書いとく)。繋いでみないとムダになる可能性もあるし、指示や指摘が「コンテ読んでない(あるいは読み方が良くない)んじゃないのか?」と思わせるものがあり。大体、元請の制作がカッティングもダビング前差し替えも立ち会わない(アフレコとダビングには来る)ので、内容や事情を十分に把握してないのでは、と感じていた。編集作業に立ち会わないで演出の力量は測れないし、意図してるところも解らないですよ、元制作として言いますが。

リテイク内容が「辻褄を合わせる」ことに終始してて、「観てどう感じるか」じゃないんだよね。一例を挙げよう。主人公たちが底なし沼に引きずり込まれてゆく。というのが話の大半なのだが、次第に沈み込んでゆくという状況。ダビング前差し替え時に監督が「リテイクの時でいいので引きずり込まれてゆく動きをつけてほしい」と言い出す。「いいけど、全部のカットにはできないし、要所だけですよ」とは答えた。そんなの、やるにしても原画大半上がってチェック通してから思い付きで言う話じゃないし、コンテの段階で作画込みで考えてないと無理だし。15分くらいかけてだんだんに沈んでゆく、なんて言うのを沈んでゆくのが分かるように動きなんて付けたらあっという間に沈んじゃいますよ。実際かなり遅いスライドをつけても「速い」ってなったんだから。

さらにリテイク出しの時に元請の制作が、「沈む動きが必要なカットを洗い出します」と言い出し、カット袋が回ってきたが、6割方は不要と判断して出した。主人公たちが沈んでいると気づく直前までは動きはいらないし、別の芝居を見せる場合に邪魔になるカットではいらない。作画じゃなく撮影で足すだけならキャラを水面に消し込みのスライドということになるが、セルがずれていくだけで不自然に見えるとしか思えないので却下。何より、こういう場合は要所要所で沈んでることを示すカットがあれば、あとはカットの推移とともに位置が変わればいいだけなのだ。そういう手間をかける場所を決めるのが演出というもので、沈んでるんだから全カット動きつけろという機械的な辻褄合わせは「演出」とは言わない。それは「説明」「言い訳」の類だからだ。

ところが、不要だと言ってるのに制作が勝手に撮影に指示出しして動きを足してて、上りも観たけど、「不要だって言ってるだろ」と言うしかなかった。あれぐらいの大手ともなると、いろいろ予防を考えてしまうのだろうけど。作品に対する考え方が素人であるとしか言いようがない。

元請からの要求が、ずっとこの調子(もちろん別に有益な指摘はありましたよ)で、僕には制作の知識と経験が不足しているようにしか思えなかったのだが、「リアル志向」のつもりであったらしい。いつか気づくでしょう。

初めてのこともいろいろ。

最近、ある作品の演出で、業界の大手でかかわったことのなかった某社の仕事を初めてやっています。直接元請から受けた仕事ではなく、グロスの制作会社を通してですが。で、なんというかこれも初めてというかあまりなさそうなことですが、制作から「演出志望の原画マンの仕事をみて遣ってほしい」というわけで共同で演出のチェック作業などをしています。

「教える」とか「指導する」のは柄ではないし、教えるほどの技量もないと思いますので、チェックの終わったものをこちらで気ままに通したり直したり。

僕自身は一応の師匠がいましたが、もうしばらく前に亡くなりました。技術的なことで教えてもらったことと言えば、コンテを課題として描いて、講評され、イマジナリーラインについて言われたくらい(教わらなくても学ぶ程度のことですが、素人でしたので)で、あとはその時その時の監督や作画さんに教わったり学んだり、自分で考えてやってみたり、だったし、師匠になれるようなえらい身でもないし、もう古臭い徒弟制度の時代でもないだろうと気軽にやってます。実際師匠と弟子みたいな関係で育てられる演出家は最近は少ないんじゃないか、と思いますが。人について教わる以外に技術について学べなかった昔よりも、解析可能な映像の素材や理論に触れる機会は、ネットの動画や書物など大量にあって、どう考えても最近の若い世代のほうが技術的な蓄積を利用したりすることには有利だと思いますよ。

他人のやった演出チェックに重ねてチェックする、というのは降りたとか逃げた人の後始末でずいぶん今までもやってますが、自分の手でないものというのはある程度客観視できるというか落ち着いてみることができて面白いですね。年寄りなりに学ぶことはまだあり、もっと良い仕事になるようにしていきたいものです。

楽しいお仕事。

処理しかやらない人って、なににやりがいを感じてるんだろ
まぁ、やりがいは人それぞれなんだろうが、コンテ切らないで演出やって楽しいのか

 てなことが某巨大掲示板の「糞演出家を晒すスレ」に書き込まれてます。

僕は今もコンテの仕事を求めていないわけではないし、名刺にも「アニメーション演出/絵コンテ」としておりますが、絵コンテの仕事は10年以上やってません。端的には依頼が来ないから。なぜ依頼されないのかははっきりは分かりません。月一本コンテをやるんだ、と課してた時期もありましたが、続きませんでした。次から次へと「処理」だけの仕事で忙しくなってしまって常態化するしね。

で、コンテ切らないで演出やって楽しいのか?、というならまあ楽しいですよ、と思います。

絵コンテによる画面のコントロールこそが演出なのだ、あるいはコンテと処理両方一括でやってこそというファンダメンタルな意見もそれはそれで正しいと思いつつ、じゃあ例えば「後処理」の実作業をしないでコンテだけ切って楽しいの?って感じ。楽しいとは思いますが。それと同じ。

現実に「コンテ」と「処理」に分けられている前提があって、どっちかが(とりわけ「処理」と呼ばれる演出の実作業が)やりがいを感じられないほどにくだらない、価値のないものだろうか?問う方もそうは思ってはいないだろう。

僕が演出の作業で一番楽しいのはカッティング(編集)です。ある面ではコンテを描くより、「楽だ」という意味ではなく楽しい工程だと思ってます。一番面倒でやりたくない作業は(演出ならみんなそうじゃないかと思うが)リテイク処理(やらないとは言ってない)。そして仕事は、当たり前だが楽しみとやりがいばかりでできてはいないのだ。

絵コンテと演出を分ける、というのは演出家の(やりがいがあるかとかそういう)問題では実はなくて、制作体制だったり、制作の発注の問題で、「処理屋」だつって馬鹿にするなら仕事出すな、とも思います。だって他人の描いたコンテの処理をすることを求めてるのは制作じゃないですか。あの掲示板に書き込んでいる人たちは(発注者の立場を代弁する人が多いので)大半制作だと思いますから、そのことは顧みてほしいものです。

暑いねえ。

すっかり暑くなってきて、自転車漕ぐのがしんどい季節になってきました。でも仕事は続くのだ。

1年ちょっと前、50歳になってしまい、どう数えても人生の中で稼働時間の半分は過ぎたなあ、まだ何も成し遂げていないのに、とこれまで生きてきた時間よりこの先は短いのだから、毎日を大切に生きていきたいと思いますよ。

いつの間にやら。

1月と2月で5本、テレビで演出担当した作品が流れるという(うち2月末の1本はまだ作業中。たぶんぎりぎりまでかかる)、よく分からん状況です。昨年春に納品して宙ぶらりんになってたやつとかも含んでですが。仕事はあるに越したことはない。ありがたいことです。