瓦礫の中のゴールデンリング

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某監督が某制作会社の社長兼制作プロデューサーと思われる人を「ゴミクソプロデューサー」と自分のブログでこき下ろしている。2年前まで自分が経営者だった制作会社を、理不尽な要求を突き付けられ金をジャブジャブ使われた挙句、崩壊させられ、その「旦那」(アニメーターであり演出家)が結託して製作委員会を騙し、最後には作品自体から追い出された、という。人間として良心があるのかと訴えているが。
ちょうど2年前、僕はこの監督の作っていた映画の後編にパート演出としてかかわっていた。制作が始まってしばらくしてから上記のプロデューサーから知人を通じて連絡があり、依頼された仕事だったが、その時点で監督をチェックから引き剥がさないと作品の完成が危ぶまれるという状況になっていて、何百カットも監督の手元には「僕が全部自分でチェックします」とレイアウトが溜め込まれていた。小規模公開の映画とはいえ、劇場でブルーレイを売るということもあり、納品は早めに設定されていた。
プロデューサーが好き勝手にジャブジャブ金を使ったと監督氏は書いているが、元々お金の管理にはすごく厳しい人で、多くの仕事で赤字を出さない人だ。また、カット数を減らせという要求をされたとのことだが、制作期間と予算の問題だろうから、金をジャブジャブ使うというのとは矛盾する。カット数が減れば手間が減り、使う金も減る。尤も、演出のパートを分けたのでその分演出料は支出が増えただろうが、それでも全体の予算から見れば、大した額じゃないはずだ。「旦那」氏は、社内作画のアドバイスなどをやっていたと思うが、その時の映画には直接クレジットもないし、製作委員会に関わったわけでもない。妻であるプロデューサーの相談には乗っていたと思うが、結託して騙す、というレベルの話ではない。
「ゴミクソプロデューサー」の手腕がなければ公開に間に合ったかも怪しかったのに、ものすごい被害者意識にびっくりさせられる。
演出や監督というのは、いろいろな部署に打ち合わせで指示を出し、それをその通りになっているかを全カットチェックするという責任の範囲も広いし、手抜きや粗い仕事、遅滞があれば信用を失くす。だからこそ適切なスピードと丁寧さが必要な信用商売で、失敗(自体はよくあることだとして)した時にそこを反省して更新できない人は「裸の王様」となってしまう。演出に対する批判(悪口というような意味ではない)は制作(プロデューサー)が担うものだし、それを「ゴミクソ」と罵るより先にすることがあると思う。